日本人にはいまいちピンとこない佐藤琢磨選手「インディ500優勝」の偉業

佐藤琢磨選手が「インディ500」を制覇して日本人として初めてチャンピオンに輝きました。おめでとうございます。

日本ではF1のほうが人気があり、インディカーレースについては正直アメリカの”カントリーレース”という色彩が強く、あまり注目されてきませんでした。実際レース会場にはバーべキューを楽しむアメリカ人がたくんさんいて、レースを観戦するというよりは一種のお祭り会場みたいな雰囲気もあります。

しかし同時にこのレースには毎回アメリカの副大統領が参加スピーチするなど、その格式は確かなものです。過去101回も開催されてきた伝統のモーターレースでもあります。

インディアナポリスのコースはいわゆる「オーバルタイプ」という周回コースです。同じところをぐるぐる回るコースなので、F1を見慣れている人からすると少しつまらなく感じるかもしれません。

しかしオーバルコースはドライバーに常に片側からのG(負荷)を与えるため、血液が体の半分側に張り付くように集中して、意識が混濁するという過酷な状況を生み出します。首も常に片方の同じ方向にしか遠心力が働きませんから、その負荷は半端ないといえるでしょう。

オーバルコースの最大の特徴は直線コースが長く、そのため常時最高速に近い状態で周回することになるということです。そのため最高時速はこのレースでは約380キロ、平均でも350キロというのですから3時間以上新幹線より速いスピードで回り続けるということになります。

簡単に言えば、東京大阪間をほとんど休息もなしに東海道新幹線より速いスピードで走るということになります。なのでインディ500に必要とされる能力は少しのミスも許されない集中力とそのための持続力です。ちょっとしたコース取りのミスが大きな減速につながり、そのミスを取り返すためには何週もの挽回が必要になります。

またそのようなハイスピードのレースであるために、残念ながら多くの死傷者が出ています。過去100回のレースでドライバーの死亡者数は42名を数えています。今回のレースでも中盤に大きな衝突事故が発生していますし、命がけのレースであることは間違いありません。

佐藤琢磨選手は優勝してからの1週間は、インディ500のチャンピオンとして全米の主要メディアに出続けることになります。つまり全米にその名前が知れ渡ることになります。実際すでに株式市場で新規上場企業のために鐘を鳴らしたりしていわゆる名士扱い、文字通りのスターですね。

残念ながらアメリカでのアジア人のスポーツ界における地位は高くはありません。現役選手として数少ない日本人の成功例としてはテニスの錦織選手、MLBのイチロー選手、ゴルフの松山選手ですが、今回の佐藤琢磨選手の偉業は正直これらの選手を上回るインパクトを全米に与えたといってもいいかもしれません。

その意味では佐藤選手は全米に名前を知られる初めての日本人のアイコンになったかもしれません。それだけすごいことを達成されたのです。日本ではモータースポーツではF1のほうが人気がありますが、これを機会に日本のモータースポーツファンにもインディカーレースに興味を持つ人が増えるかもしれません。

そのF1も最近は世界的に人気の陰りが見えているといいます。その理由の一つはレースの勝敗を分ける要因としてドライバーよりもマシンの優劣のほうが大きいということが挙げられます。実際最近のレースではオーバーテイクの場面がほとんどなく、予選でトップだったマシンがそのまま本選でもトップになるということが続いています。

インディカーはよりドライバーの力量が勝敗にでます。なのでレース中に抜きつ抜かれつのシーンがたくさん見られることが大きな人気の背景になっています。ある人によれば、「F1はマシン、インディは車のレース」といいます。マシンが主役のレースではなく、あくまでもドライバーが主役のレースを楽しみたい人はインディカーに興味を持ってほしいと思います。

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