肉離れを軽視してはいけない理由

「肉離れ」というと体験した人はあのピリッとした痛みの記憶に恐怖するといいます。患部は重症の場合だとどす黒い紫色にうっ血していることが多く、ひどい場合には筋肉が落ち込んでいるのが目で見ても確認できます。

肉離れというと、大谷翔平選手がこの肉離れで戦列を離れることになり、話題になっていましたね。肉離れはアキレス腱の断裂や靭帯損傷などと比較して軽い症状だと考えがちですが、なかなかどうして肉離れはプロ選手にとってはかなり難しい症状だといえます。というのは2度3度同じところやってしまうと癖になり、競技生活に深刻な影響を及ぼしてしまうからです。

そもそも肉離れというのはどういったものでしょうか。それは筋肉を構成する筋繊維が裂けてしまい、筋繊維を構成する筋細胞が損傷してしまった状態をいいます。特定の部位の筋肉の収縮に力が集中して過負担が起こった場合に起こります。

筋肉痛への処置はまず当該部位の冷却と固定です。1~2日程度、氷などで冷却しながら包帯で固定します。それから3~5日後から今度は当該部位を温めます。そのあとは痛みがでないようでしたら、ストレッチや筋力トレーニングなどで患部を強化していくことになります。通常の肉離れであれば、場所にもよりますが、大体1カ月から2か月程度で完治します。

肉離れが完治していないまま、トレーニングを始めてしまうと、再び同じ場所に肉離れが再発する可能性がでてきます。時には癖になってしまって2度3度と同じ部分をやってしまうこともあります。またそれだけではなく、完治していないままトレーニングを始めてしまうと、その部分を意識的にも無意識的にもかばってしまい、そのほかの部分へ負担がかかることになり、大谷選手のように違う部分を故障してしまうことにもなります。

大谷選手が肉離れを誘発したのは、もともと足首のけががあり、そちらをかばっていたため逆足の太ももに負荷がかかったからだといわれています。そしてもう一つの原因は、シーズンオフ中の筋力トレーニングによって筋肉量と体重が増加したことにあるような気がします。

ご存知の通り大谷選手は投手と打者の2刀流で結果をだしているたぐいまれな選手です。ただ2刀流についてはデメリットもあります。それは投手専門、打者専門ならば、それぞれの役割にあった最適な筋肉と筋肉量を身に着ければよいのですが、2刀流ですとどうしても中途半端になってしまいます。

打者として必要な筋肉量と、投手として必要な筋肉量、どちらにも最低限必要な筋肉量を身に着けただけでも、筋肉量は必然的にシングルプレイヤーであるときよりも重くなります。その状態で1塁まで全力疾走するとなると、故障が発生しやすくなるのは自然なことだといえます。

たとえば投手がサブで野手がメイン、またはその逆のようにどちらかがサブでどちらかがメインであれば、ある程度メインの役割に寄った筋肉量を追及していけばよいのですが、大谷選手はどちらも貪欲に追及しているので、なかなかそのあたりの調整が難しくなっているのではないかと思います。

肉離れは”たかか肉離れ、されど肉離れ”であり、一つの故障は次の故障への導火線でもあります。肉離れは自分の現在のフィジカルの状況とトレーニング内容の乖離を知らせてくれるシグナルでもあります。肉離れをしてしまった場合は、今一度トレーニング内容を見直してみることが大切です。

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