食べ物を熟成させるということ

最近、鮮度をうたった食材だけではなく、おすしでもお肉でもわざと熟成させた素材をだすところもでてきました。それではなぜ食材を熟成させるとおいしさがアップするのでしょうか。

魚や牛などの肉ははじめは硬直していて硬いのですが、しばらくするとその硬直がなくなり緩んできます。というのはしばらく放置しておくと、お肉に菌(=微生物)が発生して、その菌が持つタンパク質分解酵素の働きによって筋肉繊維の結合がゆるむからです。そして段々と柔らかくなっていきます。

柔らかくなるだけではなく、筋肉が分解されてうまみの成分であるアミノ酸の量が増えます。同時に芳香成分も増えるため、匂いとうまみが凝縮されたお肉ができあがるのです。アミノ酸の量は新鮮な状態のものよりも5倍以上に増加すると言われています。

熟成させるといってもそこはプロの経験と工夫が必要です。熟成させすぎると腐敗が始まり、とても食べられたものではなくなります。つまり熟成させるとは、タンパク質をうまみに変えてくれる菌と、単に腐敗させてしまう菌のせめぎあいの中で、ある一定の環境ではこのうまみに変えてくれる菌が腐敗させる菌よりも繁殖しやすくなることを利用して、ある程度の時間寝かせることを意味するのです。

今は保存技術などが発達して、季節の旬のものというのがわかりにくくなっているため、完熟とか熟成とかの概念がわかりづらくなっている面はあります。しかし同時にそのような保存技術の発達によってある程度人工的に熟成させることも可能になってきているわけです。

たとえば熟成肉を売り物にしているあるお店では、低温で高湿度で無風の環境でじっくりとお肉を熟成させます。熟成には加湿して熟成させるウェットエイジング法か、乾燥させて熟成させるドライエイジング法という2種類があるのですが、お肉から水分を抜いて乾燥させることは同じです。

低温と言いましたが、大体2~3度程度です。高湿度というのは60~80%程度をいいます。先ほどは無風といいましたが、肉の種類によります。お肉の種類によっては送風で強い風を送ってお肉の酸化を促したほうが良いとされています。一般的には和牛などの良いお肉には無風のほうがむいているらしいです。

家庭でも熟成させることは不可能ではありませんが、やはりそこはプロのしっかりとしたロジックと管理と施設が整ってこその熟成肉ですのでお勧めはできません。腐敗と熟成は紙一重なのです。

一般家庭でお肉を冷蔵保存するにはラップできっちりとつつんで、密閉できる保存用の袋にいれてください。それでも3~5日以内には食べましょう。

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