難聴と認知症の関係

hochouki_obaasan

難聴とは音が聞こえにくくなる聴覚障害のことです。先天性難聴、薬物性難聴、突発性難聴等いろいろな原因がありますが、ここでは最も割合と人数が多い老人性難聴を取り上げます。

老人性難聴は加齢に伴う聴覚に関する機能障害の一種です。加齢とともに内耳蝸牛(ないじかぎゅう)の感覚細胞や聴覚神経がダメージを受けたり、蝸牛内の血行障害から音が伝わりにくくなる症状です。

老人性難聴をそのまま放置していると、日常生活に支障をきたすと同時に、最近は認知症との関係が指摘されています。それではなぜ難聴と認知症のつながりが指摘されているのでしょうか。

明確に科学的な解明がなされてるわけではないのですが、難聴であっても補聴器をつけていたグループとつけていなかったグループについて認知能力に差があったかどうかを調べた研究では、補聴器をつけていたグループはほとんど認知能力に低下がみられなかったのに対して、つけていなかったほうは優位な低下がみられたといいます。その抑止効果は現在二つの経路から来ていると考えられています。

一つ目は以前、聴覚と認知症との関係に触れた記事(クラシックは認知症予防に効果的)を書きましたが、聴覚を心地よく刺激してくれる音楽の存在は、脳の活性化につながり、結果として認知症予防につながることを説明したものです。難聴のまま補聴器をつけていないで過ごしていると、この聴覚からの脳への刺激がなくなってしまうので、脳細胞の活発化につながらないということが認知症の発症もしくは進行に関係している可能性があります。

もう一つの経路は、老人性難聴はゆっくりと進行しますので、ご本人はなかなか自分の症状に気が付いていないということが多く、周りの指摘によってはじめて気が付くということが多いのです。難聴の状態を放置していると、本人とともに周りの人にも意思疎通でストレスを感じるために、本人が他人と活発にコミュニケーションをとろうとせずに、それが認知症を進行させてしまう原因になっている可能性もあります。

最近は補聴器のレベルも向上して、高くない製品でも随分と聞き取れるようになってきています。高いもののほうが当然機能もよくなっているわけですが、意外と補聴器は落としたりすると見つけるのが難しい小さな製品です。ですのでいきなり高い製品に手を出すよりは、まず安価な製品でしばらく試してみるのが良いと思います。

使い勝手がわかってきて、補聴器との生活が慣れたころから、しっかりと自分に合ったそれなりの価格の補聴器を購入するというのも一つの方法かと思います。補聴器は本人だけでなく、周りの人の負担とストレスを軽減する道具ですので、補聴器のある生活に早めに慣れることが、そのほかの疾患を進行させないことにつながるのです。

This entry was posted in 認知症. Bookmark the permalink.