アスリートの宿命、スポーツ貧血

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貧血は男性よりも女性のほうがなりやすい症状です。女性に多いのは月経による出血や無理なダイエット、そして偏食などです。特に日本の女性は先進国でありえないほどの摂取カロリーの低下による貧血の症状が深刻化しているといいます。

しかし壮健なアスリート選手でも貧血に陥ります。それは過度のトレーニングからくる「鉄欠乏性貧血」、いわゆる”スポーツ貧血”です。

筋肉は酸素を必要としますが、酸素を運んでくれるのは血液中のヘモグロビンです。筋肉量が増えるとヘモグロビンの主成分は鉄分なので、筋肉を維持するために鉄分が使われて身体全体では鉄分不足となるのです。

次に運動による発汗です。汗には鉄分が含まれていますので、トレーニングや運動などで大量の汗をかくと鉄分も流れ出てしまうのです。

最後に溶血による鉄分の流出です。赤血球の寿命は平均で約120日なのですが、足の衝撃などでそれよりも短い期間で赤血球の膜が破れてヘモグロビンが流れ出ておこる貧血です。この場合、皮膚や目が黄色くなることが知られています。マラソン選手などの長距離系のアスリートに起こりやすいタイプの貧血です。

そしてやはり女性アスリートのほうが男性アスリートよりも3倍近い頻度で起こる症状です。

鉄分が不足すると様々な症状が現れます。まず不妊になるリスクがあります。産婦人科医では不妊治療においてはまず鉄が欠乏していないかをチェックします。若い女性の間では無理なダイエットなどで生理不順に陥り鉄が欠乏している場合があります。

時には皮膚の感覚に違和感を感じます。なんだかムズムズしたり、ムカデがはっているような感覚にも襲われます。これは鉄が欠乏することにより神経伝達に齟齬が生じて、皮膚表面の感覚に乱れが生じるからです。

そして鉄が欠乏すると白血球が作れずに免疫力が低下します。このためインフルエンザなどの感染症やひどいときには肺にカビが生えるというようなこともあります。

そのほかイライラする、吐き気がする、顔色が悪くなる、ボリボリとした食べ物(氷など)を食べたくなる、つめが白くなったり反り返ったりするなどの症状がでます。

対応策は食習慣を見直して鉄分がとれる料理に切り替えること、また以前にも記事(お湯をまろやかにする南部鉄瓶)にしましたが、お湯をわかす機材をステンレス製などから鉄器に変えるというのも有効です。

サプリメントとして鉄剤を補給するのも結構でしょう。ただ鉄剤を使う場合には過剰服用にならないようお医者さんの指導の下で行うのが望ましいです。このほか造血効果のあるビタミン類(C、B12、葉酸)の補給も欠かせません。

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