関西と関東の食文化の違いは水の違いから

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水には軟水と硬水という区別があります。マグネシウムとカルシウムの少ない水を軟水、多く含まれている水を硬水とよびます。日本の水は沖縄を除くとほとんどが軟水です。沖縄は珊瑚の影響だといわれています。

とはいえ日本の地方ごとにミネラル分の多少の含有量の違いはあります。その比較でいえば、関東は比較的硬水、関西は軟水といえます。関東が硬水なのは関東ローム層の影響ですね。関東で生活をしていると、湯わかしポットの底に白い沈殿物が付着していることがあります。これはそのミネラル分の炭酸カルシウムです。

さてこのような関東と関西の水質の違いは食文化にも大きな影響を与えています。

たとえば出汁(だし)です。以前も記事(日本料理を特徴付けるうまみ成分とは?)にしましたが、関西の出汁は昆布、関東はかつお節でとります。関西は軟水のため、ミネラル成分に影響されないで素直で繊細な出汁で薄味を表現できるからですね。

逆に関東は硬水のため、出汁のうまみ成分が硬水のカルシウムと反応して”あく”がでてしまうといいます。そのためあくがでても味が変わらないように、動物性たんぱく質であるかつお節のしっかりとした味付けが必要になるのでしょう。

関西は昆布だしを塩でまとめ、関東はかつお節の出汁で醤油を生かすともいいます。関西の人は関東に行くと、うどんのお汁が醤油で味付けされて真っ黒であることに驚きます。硬水では繊細な出汁のうまみを出し切れずに、醤油で強い味付けをしないといけないというのもあるでしょう。

また豆腐もそうです。豆腐づくりに硬水を使ってしまうと、豆腐のたんぱく質と硬水のミネラル成分が結合して固い豆腐になってしまいます。

コーヒーなども違いはあります。硬水の成分のカルシウムやマグネシウムはコーヒーの成分と反応して苦味を引き立たせます。逆に軟水はまろやかさと酸味を素直に出してくれるので、浅煎りのコーヒーが似合うかもしれません。

神戸(灘)は日本酒の一大生産地ですが、これは宮水という夙川と六甲山からの湧き水が合わさってできた日本では珍しく硬度の高い水が酒造と合っているからだといわれています。宮水のミネラル分が酵素と反応して麹を促進させる作用があるからです。

ちなみにお湯を沸騰させるとミネラル成分の幾分かは減りますので、硬水でも沸騰させれば軟水に近くなります。ですのでコーヒーでは必ず一度沸騰させたお湯を使うわけです。

このように関西と関東では水の違いから使う食材から味付けまでも変わってきます。考えてみれば食材の最たるものは水なのです。水がなければ料理はできませんし、特に和食はそうです。

和食が薄味で素材を生かすといわれるのも、水が軟水であることからきているのでしょう。フランス料理などはお肉や硬水を使うために濃いソースで素材の臭みを隠す必要がでてきます。

日本人はこのように古来から軟水に慣れ親しんできたので、海外旅行などにいって硬水を飲むとよく腹をこわすといいますね。日本人は硬水のミネラル分をうまく消化吸収できない体質なのです。ですので硬水のミネラル分を消すために、海外では一度沸騰させたお湯を冷まして飲むことが薦められているわけです。

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