トムラウシ遭難事故から考える低体温症の怖さ

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これからは夏山シーズンに入りますが、本格的な山に登ろうとする際には、先人の悲惨な事故について振り返り、教訓として頭に入れておくことが大切だと思います。ヤマケイ文庫からでているトムラウシ遭難事故についてのドキュメンタリーをまとめた本はその格好の参考書です。

以前にも記事(箱根駅伝から見える低体温症の怖さ)にしましたが、低体温症がいかに怖いのか、このドキュメンタリーは教えてくれます。

低体温症の怖さは、まず思っている以上に簡単に人は低体温症に陥るということ。そして一旦低体温症になってしまうと、人間の最大の武器である思考力・判断力というものが欠落してしまうということです。

遭難してなくなられた多くの方は、決して軽装備で登山に向かわれたのではなく、リュックには防寒用の上着が入っていたといいます。ではなぜそれを着なかったのか。雨天のため外で着替える機会を失ってしまった、もしくはすでに低体温症で着替えの必要性を感じなくなってしまっていたなどが考えられると思います。

この本で医療関係者が指摘しているのは、運動量と比較してメンバーのカロリー摂取量が総じて貧弱だということでした。またツアー参加者の体脂肪率も求められている運動量と比較して同じく貧弱であるとの判断がでています。

良く指摘されていることですが、ツアー登山という形態、ガイドに連れて行ってもらうというお客さん意識、日程の厳しさ、低体温症への認識の低さ、天候を甘く見たことなどが主因となっています。

この本は活字にもかかわらず、まるで自分がその場にいてツアーに参加しているような重苦しい気分にさせます。行程でのそのときそのときの判断が後々の大きな結果と結びついていることを考えると、自分ならどうするのかどうすべきなのかを考えさせ、追体験させてくれる貴重なドキュメントだと思いました。

これからは夏山シーズンに入りますが、この本は登山愛好者にとって必需の教養だと思います。トムラウシのような本格的な大雪山系ではなく日帰りのハイキングであっても、この本を読むことは無駄にならないと思います。

大事なことは現在の自分の体力と経験、そして知識に見合った山を選ぶことです。決してガイド任せの登山をやってはいけないことだと思います。それでもガイド登山する場合は、ガイドさんが地元の人で、何百回もその山に登って地理と天候を知り尽くしている方にしましょう。

テレビではスーパーな登山家がでてきて、難なく登山をこなしているようにみえても、それまで孤独に登山を繰り返し知識や経験を養ってきて、そして何よりも人並みはずれた基礎体力があります。またカメラが入っている時点で、多くのスタッフと同行しているわけで、何か起こっても大丈夫な体勢ができているのです。

今はネットがありますので、メジャーな山であれば、先行者の体験記や過去の遭難事例についての情報も手に入りやすくなっています。登山計画書をつくる際に一通りチェックして参考にしましょう。プロの登山家でなければ登山を一回きりの登頂制覇というところに重きをおかず、何度も繰り返し登ってみてその山の性格や表情を知り尽くすというのも、登山の醍醐味だと思います。

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