ユニバーサルデザインと尾道

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ユニバーサルデザインというと、最近は市民権を得て、ほとんどの新しい公共施設では整備されるようになっています。

ただ最近はユニバーサルデザインやバリアフリーの意味合いもすこし変わってきているようです。

バリアフリーは障害のある方や高齢者への配慮と同時に、介助者の負担を減らすという意味合いがそれ以上に、現実の負担問題として強くなってきています。

たとえば車椅子のお年寄りを介助者がエレベーターなしで引き上げようとすれば、介助者にとって大変な身体的負担と介助者本人の故障や転倒のリスクを覚悟しなければなりません。そんなときでも、バリアフリー設計であれば介助者の負担を大きく軽減できます。

介助者にとってユニバーサルデザインやバリアフリー設計は本当に助かるものですが、健常な高齢者にとっては逆に日常生活における足腰の負荷を減らしてしまうことで、下肢の筋力低下につながってしまうリスクを抱えています。

尾道は昔ながらの街並みが残っていて、その観光資源としての独自性が高く評価されていますが、高齢者にとってバリアフリーとはとてもいえない坂道と階段だらけの街です。それでもこの後背のきつい街が、逆に尾道の高齢者の足腰を鍛えることにつながっています。

仮に完全なユニバーサルデザインやバリアフリー対応されている街に住んでいたとしたら、おそらくそうではない不自由な街のよりも、高齢者の足腰は年齢的にも早く弱まってしまうことが考えられます。

もちろん坂道など純粋に足腰の強化につながる負荷がかかる場所はともかくとして、不必要に出っ張りのある障害物的な設備は取り除くべきだと思います。そのようなものにあたって転倒したりして、寝たきりなどになってしまうことは避けなければなりません。

しかし日常的な諸事をこなすことのできる健常に近い高齢者であれば、多少不自由な街のほうが、健康年齢の延長につながるはずです。

世の中が便利になり、配慮がされた街並みや施設が多くなっていくことは大切なことですが、それが行き過ぎると、今度は逆に足腰の弱体化につながる可能性があります。大事なことは生活上の負担のバランスと同時に、ある程度の不自由さを楽しむ気持ちのゆとりだと思います。

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