高齢者の「新型栄養失調」を防ぐために

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今、高齢者の間で「新型栄養失調」という言葉が出てきています。見た目はやせていたりしていないにもかかわらず、内実は栄養素が足りていない状態のことをいいます。

特に多くの高齢者には動物性/植物性問わず、たんぱく質が足りていません。つまり肉や豆類を食べていないことになります。また、ミルクやチーズなどの乳製品の摂取量の低下も指摘されています。

“栄養失調”というと、食糧不足からアフリカのやせ細った子供たちの状況を思い起こす人が多いかもしれませんが、「失調」ですから要するに調和を失う、栄養バランスが悪いというのが本意です。アフリカの子供たちの状況は、カロリーの絶対量が不足している状態ですから、「栄養不足」というほうが実情に近い言葉だと思います。

時々、テレビなどで長寿の方を取材しているのを目にしますが、その多くがステーキなどの肉類をおいしそうに召し上がっています。年を重ねても、胃腸が強く、食欲があり、若い人と同じようにお肉をもりもり食べる人は、やはり長生きされるようです。

とはいっても年齢をへると、序序にお肉などの脂っこいものを受け付けなくなる人も多いでしょう。そうなると自然とたんぱく質の摂取量が少なくなり、代わりに炭水化物の割合が増えていきます。炭水化物は糖ですから、余分な炭水化物はそのまま脂肪へと変わります。

ですので、一見するとやせていないにもかかわらず、たんぱく質不足の栄養失調に陥ってしまうのです。

またもう一つの理由として、メタボ対策の”行き過ぎ”もあったかもしれません。メタボが社会問題化して、国としてもその対策に力をいれたのですが、その必要のない、もともと素食の人までがそのような食事法でよいとおもってしまったこと、もしくは栄養バランスを考えず、ただカロリー量をさげればいいと考えてしまった人が多かったからだと思います。

メタボは現役世代の、まだ働き盛りの世代の問題です。メタボは内臓脂肪の蓄積によって、生活習慣病に結びつきやすく、高血圧、高脂血しょう、糖尿病、動脈硬化などを引きおこす可能性があります。

しかし、その上の年齢になってくると、メタボよりも低栄養状態のほうを気にしなければなりません。というのは死亡率のデータにおいて、その年代のひとは、メタボの人よりも低栄養状態のほうが死亡率が高くなっているからです。

前回も言及しましたが、過去の時代と違い、今は食生活も多様になり、栄養的にも個人差が激しくなっており、国としても共通した政策がとりにくくなっているのは事実です。情報を受け取る側も、自分にとってどの食事法が適しているのかを、吟味する必要があります。

新型栄養失調かどうかは、お医者さんで血液検査をしてもらえばすぐにわかります。血液中のアルブミンと呼ばれる物質が少ないかどうかで判断をします。アルブミンはたんぱく質なので、この血中濃度が低ければ、栄養失調を疑うことになります。

お肉の脂分が苦手という方は、脂身の少ない赤身のお肉や鶏肉をお勧めしますし、大豆や納豆など植物性のたんぱく質でももちろんOKです。たんぱく質は筋肉、骨、髪の毛、爪など人間の肉体を構成するありとあらゆる部分の源になる栄養素です。もういちど自分の食習慣を見直してみて、栄養素に偏りがないか確認してほしいですね。

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