有名選手の2世が活躍できていないと思われてしまう理由

黒田博樹20040218

スポーツの世界でよく話題になるのは洋の東西を問わず「2世」の存在です。有名選手の息子さん娘さんが同じ競技でデビューしたなどになると、ファンは嫌がおうにもその”素材”に期待するものです。ただファンの期待通りに活躍できた2世は少ないというのが、世間一般の持っている印象ではないでしょうか。

では実際のところはどうでしょうか。

今年MLBのヤンキースから広島カープに帰ってきた黒田投手は、今「漢気」あふれる選手として大変人気が高まっていますが、黒田投手のあの頑丈な体躯はご両親の存在抜きには考えられません。父は元プロ野球選手、母は砲丸投げの選手というアスリート一家で育ちました。

同じくご両親がアスリートで活躍していた選手に、砲丸投げオリンピック金メダリストの室伏広治選手がいます。室伏さんのご両親もどちらも砲丸投げの選手でした。

黒田選手の父は元南海の選手でしたが、南海ファン以外にはそれほど知られた存在ではありませんでした。したがって二人とも「有名」選手の2世ではありませんが、父母ともに「有力」選手の2世ではあるわけです。世間が優れたスポーツ選手の2世はやはり優れた選手になるはずだと期待する通りに、この二人の成功例はそのことを証明しているのです。しかしその期待の延長にメジャースポーツで活躍する超有名選手の2世のケースを考えると、あまり成功していないように思われます。

ここが世間一般の印象と現実との”ずれ”の原因になっていると思います。有名選手の2世がはじめから注目されるのに対して、実力ある(だけれども有名ではない)両親を持ったスポーツ選手は、活躍してはじめて世間に知られるものです。

両親が有力選手であったとしても、黒田選手や室伏選手のように、世間は「2世」とはあまりみなさないでしょう。結局、メジャー競技における2世はあまり活躍できていないという印象だけが残ることになります。

メディア露出の多い有名選手は、その運動能力に加えてタレント性もあります。したがって、交友関係はスポーツ界にとどまらずに芸能界にまで広がります。その過程で、スポーツ選手ではない見目麗しいけれども必ずしも身体能力に優れたわけではないタレントの方と家庭を持つことになるケースが多いですよね。

この場合、あくまでも両親がスポーツ選手の場合と比較しての話ですが、優れた運動能力は片方からしか遺伝されないわけです。そのため両親が二人とも運動能力が高い場合と比べれば、有名選手の2世がスポーツで成功する確率はどうしても落ちてしまいます。

しかし世間は有名選手の2世だからという目で見てしまいがちです。というのは世間は露出の多い有名スポーツ選手の2世に注目して期待するからです。親がマイナー競技の選手だとそうはいきません。そもそも期待しようにも知られていないわけですから。黒田選手も室伏選手もどちらも本人が有名になってから、ご両親が実力あるスポーツ選手だったことを知るわけです。

あくまでも確率の話ですが、スポーツ選手の2世はスポーツ選手として成功する可能性は、一般の人と比較すれば高いことはまちがいないでしょう。そして両親が優れたスポーツ選手である2世と片親が有名なスポーツ選手である2世では、前者のほうが活躍する可能性は高いでしょう。

2世が活躍していないという世間一般の印象のずれは、有名選手と有力選手の違いとともに、そこからくる注目されるタイミングの違いも大きいのです。

それに加えて、スポーツ界で成功するのはそもそも一握りの選手だということもあります。たとえ実力選手の親を、両親であれ片親であれ持ったとしても、そのことだけが成功を約束してくれるわけでもなく、その多くは親と同等どころかプロ平均の活躍すらできずにスポーツ界を去ります。あくまでも成功確率が高いというのは一般人と比較しての話であり、絶対的な成功確率は両親がスポーツ選手であろうがそうでなかろうが、もともと小さいわけです。

にもかかわらず世間は2世が活躍できないと、そのことがメディアを通じて印象に残ります。これが世間一般に2世は活躍できていないと考えてしまいがちな理由なのだと思います。

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