バイオロジカル(生体)パスポートって何?

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冬というとスポーツのオフシーズンではありますが、現在南半球は夏真っ盛りで、オーストラリアではサッカーアジアカップとテニスの全豪オープンの大きな大会が二つも開催されて、スポーツファンにはたまらない時間を過ごしています。

そんな華やかなスポーツ界ですが、ダークな部分も存在します。それがドーピングです。純粋なトレーニングによって身体的能力を伸ばすのではなく、ステロイドなど薬を使って無理に身体的な能力を伸ばそうとする行為のことです。

現在、公平性の観点からも選手の健康問題の点からも、アンチドーピングの国際的世論が増す中で、様々なアンチドーピングの化学的な手法が試されてきましたが、これが決定打といわれるものは存在してきませんでした。ドーピングで使用される薬は日々新しいものが開発され、その薬のドーピング効果を確認するには最低でも数年のタイムラグが発生してしまい、大会開催中にドーピング判定をすることが大変難しかったのです。

そこで導入されたのがバイオロジカル(生体)パスポートです。これは日頃から日常的に選手個人の血液情報を記録して、その血液情報に何か異常な変動が見られた場合はドーピングの疑いをかけるというものです。血液検査でドーピング物質を探し出すというのが直接的証拠を見つけ出すという意味なら、バイオロジカルパスポートは間接的証拠のみでドーピング判定するというものといえるでしょう。

血液情報とは主に赤血球数(ヘモグロビン)や生体ホルモン濃度などです。赤血球は血液中を流れ、酸素を体中に運搬してくれる機能を持っています。したがってこの赤血球の数が多ければ多いほど、体力があると考えてよいのです。

この赤血球は日々のトレーニングで数を増やすことができます。しかしそれには限界があります。その限界を薬を使って突破しようとするのがドーピングなのです。

今一番厳しいアンチドーピング検査を実施しているのは自転車のロードレースだといわれています。これはツールドフランスを7連覇したランス・アームストロング選手がドーピングをしていたと告白したからです。その後多くの選手がドーピングをしていたと明らかになり、大きなスキャンダルになりました。このため競技人気にまで影響が及ぶことになり、本格的なアンチドーピング対策が望まれるようになったからです。

自転車競技、特にロードレースは練習場所が室内ではなく野外ですので、アンチドーピングの検査官は選手の個人宅にまでいって血液検査を行います。このため選手の所在を把握するために、選手は自分の居場所の3ヶ月先までアンチドーピング機関に申告せねばならず、さらに予定を変更する場合はすぐにそのことも申告しなければならないという大変厳しい制約が課されています。

これからのスポーツ選手はその金銭的報酬と引き換えに、大きな日常生活の制約も受け入れなくてはならなくなることを、認識しておかねばならない時代になってきたのです。

テニス、サッカーも類似の制度を導入、または導入していくそうです。日本のスポーツ界は比較的ドーピングへの意識が高く、ずるをする選手も少ないため今まで問題化することはなかったのですが、これからは国際的な基準に合わせていくことになるのではないでしょうか。

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