箱根駅伝から見える低体温症の怖さ

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箱根駅伝は元旦の風物詩のひとつですね。関東の大学の学生がたすきをつないで10区間を箱根の山を越えて走っていきます。1区間の距離は大体20キロ程度なのでハーフマラソンの距離です。

毎年ほとんどの大学がトラブルもなく走りきるのですが、残念ながら幾人かの選手は最後まで走りきれず、もしくはふらふらになりながらなんとかゴールまでたどり着くというケースが見られます。毎年この日のために相当な距離を走ってきた長距離ランナーで、必ずしも長い距離というわけではない駅伝でなぜこのようなトラブルが起こるのでしょうか。それは箱根駅伝という地理的な特殊性と時期にあります。

箱根駅伝は元旦に走るために気温が低いのですが、その上山を越えていくのでさらに気温は低くなります。恒常的に吹く山風にさらされると、体感温度はさらに下がります。にもかかわらず多くの選手はランニングシャツ一枚で走っていました。

これでは低体温症になるのも無理もありません。

低体温症は直腸温が35℃以下になるとそのように判定されます。ふらふらになった選手が毛布で包まれていますが、これは低体温症への常識的な対応の一つです。

ハーフマラソンなのでマラソンよりも距離が短くその分マラソンを走るよりも速く選手は走ることになります。そのためできるだけスピードを上げようとして軽装で走ろうとするのですが、結果途中棄権や止まってしまって大きく順位を落とすリスクを抱えてしまうのです。

上半身、特に頭には筋肉がないため、代謝による熱量を持つことができず、一生懸命走っているにもかかわらず汗をかいていない選手がほとんどです。このため下半身ばかりに熱と血流がいって、上半身はとても冷えてしまいます。この状態で低体温症に陥るのです。

頭が冷えると身体は防御機能が働き、脚部の血流を今度は制限して頭に送ろうとします。そのため下肢に力が入らなくなり、いわゆる千鳥足状態に陥ってしまうのです。

対処法のひとつは少々の汗でも熱に変える最新のコンプレッションシャツを着用すること、手袋をはめること、そして頭に防寒具を着ることです。特に頭については耳まで覆うタイプがよいでしょう。耳には微細な毛細血管が走っていて、ここが冷えるとそこからの血流が脳にもどって冷やしてしまいます。コンプレッションシャツも首周りが隠れるタイプをお勧めします。また上半身に熱を与えるために、腕の振りを大きくすることも大切です。

箱根駅伝は長い歴史があり、多くの選手が走ってきた経験をもう少し科学的な見地から分析してその対処法をとってほしいと思います。現在外から見ていると、個人の体調管理という名の下に、低体温症のリスクが選手個人だけに帰せられているように感じてしまうのが残念なところです。

これから一年で一番寒い季節になりますが、だからといって家にひきこもって運動をしないでいるのは健康によくありません。しっかりとした防寒対策をしながら、日中の暖かい時間帯にジョギングやウオーキングを楽しみたいですね。

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