スポーツと武道の間

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日本は多くの武道を生み出してきました。柔道、空手、合気道、剣道etc。いずれも武道の域を超えて世界中で親しまれているスポーツ競技でもあります。では武道とスポーツ競技との違いは何でしょうか。

武道にはスポーツのような勝ち負けだけではない精神性を持つことが大きな違いだという考えがあります。「礼に始まり、礼に終わる」というように、相手を負かすことではなく、自分との修練の場としての武道というわけです。

武道がもともとは戦場で自分が生き残るために編み出されたもので、不特定多数の”敵”を相手にするのに対して、スポーツはできるだけ相手との身体的に同一条件化して技能の効率性を競うものだと考えています。身体的に同一化というのは、たとえば体重制限別というのが挙げられます。

武道では敵が自分より大きかろうが小さかろうが、相手と闘わなくてはなりません。戦場では相手を選んで闘うわけには行かないからです。でもスポーツではそうではありません。

それでは相撲は武道でしょうか、スポーツでしょうか。相撲には体重別という区別が存在しません。やはり体重が大きいほうが有利ですが、それでも体重がすべてではありません。小錦のような200キロを超えるようなお相撲さんもいれば、舞の海のような小兵も同じ土俵で戦います。

そう考えると体重別のない剣道や相撲はより武道に近く、体重別がある柔道はスポーツに相対的に近いものになっているといえるでしょう。武道がどんな相手だろうとどんな体格だろうと対応できるように鍛え上げるものであり、その意味では不確実性を相手にするものだとすれば、スポーツは対戦相手の体格を同一にした上での動作の効率性を競うものだともいえるかもしれません。

スポーツ競技として成立するためには、競技人口も必要です。多くの競技人口を引き付けるには、体格や体重で不公平感がでないように、体重別で区切る必要が出てくるわけです。もしボクシングが体重別で区切られていなかったとしたら、ボクシングをやる人は重量級の人に限られてしまうでしょう。ヘビー級のボクサーとフェザー級のボクサーが試合をするのは、フェザー級のボクサーにとって不利という以前に危険なことです。

オリンピック競技になると、武道ではなくスポーツ化するといわれます。これが理由で剣道はオリンピック競技化に消極的だといわれます。オリンピックになるとどうしても相手に勝つことだけが目的化し、ポイントの奪い合いになってしまうからです。日本の武道はスポーツ化と普及のバランスをとりながら発展していくのだと思います。

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