王さんのホームラン記録が破られた理由

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去年、王さんの長年のホームラン記録がヤクルトのバレンティン選手に破られてしまったことは記憶に新しいことですね。

ではなぜ王さんの記録はバレンティン選手に破られてしまったのでしょうか。もちろんバレンティン選手の驚異的な身体能力や飛ぶボールの影響が大でしょう。しかし、その飛ぶボール導入の契機となったのは、まぎれもなく日本人選手のフィジカルの弱さからだったと思います。

日本のプロ選手は高校野球でトレーニングの影響を多分に受けています。プロ野球選手の監督コーチクラスはほとんどが高校野球の名門の出身で、甲子園での出場経験があります。戦後間もない貧しい日本において、まともな筋トレ用の機材などなく、そのため練習することといったら一番は”走りこみ”が主流でした。つまり無酸素運動よりも有酸素運動が優先されてきたわけです。そしてこの走り込み重視のトレーニング内容はそのままプロでも維持されてきたわけです。

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実はアメリカのMLBも、90年代初期の頃は細身のスマートな選手が多かったのです。バリーボンズというと最近まで現役の最強バッターでしたが、プロ選手になりたての頃のボンズ選手はどちらかというとホームランバッターというよりは3割30本塁打30盗塁の走攻守のそろったバランスの良い細身の選手でした(写真上)。

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そんな彼が現在のような体を一回り大きくしたホームランバッター(写真上)に変わったのはステロイドを使った筋トレの影響だといわれています。ボンズが体を大きくしていったのと同時に、他の選手含めて全般的にMLB選手の身体は大きくなっていきました。

MLBが全体的にステロイドまで使って筋力トレーニングによって体を大きくしていったのに対して、日本の野球選手はその波とは無縁でした。その代わり、非力でもボールが飛ぶように、反発係数の高いボールを導入するようになりました。

日本のプロ球団は3番4番に体重を増やした外国人選手のホームランバッターを配置するため、非力な日本人選手でもホームランに出来るボールを使った場合、彼らがホームラン数を伸ばしていくのは当然だったというわけです。

つまりフィジカルを強化した外国人選手+していない日本人選手+飛ぶボール=ホームラン記録の誕生につながったというわけです。ホームラン競争でゲームをドラマティックにしてお客さんを呼びたいが、そのためにはボールを飛ぶようにするようにするという安易な発想が、外国人選手にとってはステロイドと同様な効果を与えたわけです。

もし日本球界が王さんのホームラン記録をできるだけ守りたかったのであれば、飛ぶボールに頼らずとも遠くに飛ばすパワーヒッターの育成、日本人選手に対する全般的な肉体強化の導入、そしてスモールベースボールからの意識の脱却を促すべきだったかと思います。

実はここ5年ぐらいで日本人選手の身体も大きくなってきています。これはMLBに挑戦する、した選手の経験が日本のプロ野球選手にも伝わってきたからでしょう。引退した城島選手やダルビッシュ選手なども筋トレの必要性を強く訴えていました。プロ野球のみならず、日本のアスリートの筋トレ軽視は一般的に見られるものです。是非この意識を変えて、世界に大きく飛躍してもらいたいものです。

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